−私の鉄道模型コレクションから(Gゲージ鉄道模型・風雅松本亭)−
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ライオネル( Lionel )はアメリカで、と言うよりは世界的に見て最も著名な鉄道玩具メーカーです。この雄名に匹敵するものとしてはメルクリン、バセット=ロウク、ヴィング程度でしかありません。社歴が長いと言う点のみであればバックマンが最右翼であることは言を待たないですが、この会社がライオネルやメルクリン並みの「雄名」であるかと言うと、、、。それでは、ライオネルが鉄道模型メーカーとしても有名かどうかと言うと、「間違いなく有名です」と断言することはいささか躊躇われます。それと言うのも、現実にこの会社の製品には玩具的な製品が多いことは事実なのですから、こればかりはなんとも言いようがありません。そのような訳でOゲージとSゲージでは従来の延長で玩具的なものが多いのですが、Gゲージなど、それ以外のスケールでは寧ろスケール的な、まともに鉄道模型と名乗れる程度の製品を販売しています。Oゲージでもスケール的であると言い切れる製品はありますが、比率としては上述のような状態になります。
ライオネルと言うメーカーは元々はヨシュア・ライオネル・コウエンと言う青年が1900年(明治33年)にニューヨークで起業したものです。恐らく当初はライオネル家の家業だったのでしょう。ゼンマイ動力ではなく電気式、と言いますか、モーターを使って走らせる電動玩具に着手したのは世界的に見てもかなり早い方だと思います。創業と同時に電動鉄道模型に手を出していたわけではありませんが、他社と比べて電動モノに手を出した時期は相当に早く、この点は賞賛に値すると思います。
後に幾多の紆余曲折があり、ライオネルは1960年代には経営危機に陥り、ジェネラル・ミルズと言うシリアル食品メーカーの傘下に入ります。「シリアル食品」と言うのはコーンフレークとか、あられとか、まぁ、その種の類の食品を指す言葉であることはご承知の通りです。なんで模型メーカーが食品会社の傘下に入るのか、いささか疑問に思わなくもないのですが、以前からジェネラル・ミルズの経営陣は鉄分が多かったと言う背景があるようです。ジェネラル・ミルズの「KIX(キックス)」と言う米を主原料としたシリアル、いわゆる「あられ」ですが、1950年代にはこのKIXの外箱にクーポン券が印刷してあって、幾ばくかの金銭をこのクーポン券に添えて送ると、れっきとしたHOゲージの貨車を進呈すると言うキャンペーンをやったりした経緯もあります。
この文章をお読みになると記憶力の宜しい方は京都大学の故・宍戸圭一教授がTMS誌に投稿された「アラレを食べて1編成」と言う50年ほど前の記事を思い出されるかもしれませんが、このKIXと言う米原料のシリアルを販売していた会社が、まさにライオネルを傘下におさめたジェネラル・ミルズそのものであるわけです。1980年代前半になるとライオネルの経営状態も改善の兆しを見せ、やがて1985年(昭和60年)にリチャード・カーンと言う人物がジェネラル・ミルズからライオネルの経営権を買い取り、現在に至ります。この年が実質的には現在のライオネルLLCの創業の年と考えて宜しいでしょう。現在のライオネルLLCは創業当時のライオネル一族とは、資金的・人的に全く無関係のようです。
ライオネルのGゲージ製品は1990年代になって発売されたものと記憶しています。動力車はEMDのGP20、機関車トーマス、それと以下にご覧戴くCタンク機です。GP20と言うのはGMの電気車輌事業部(=EMD)が開発した中出力の機関車で、有名なGP7やGP9の改良型とも言うべき車種です。要はセミセンターキャブの本線用・入換用兼用の機関車ですから、DD14の運転台が少々内側に入り込んだような機関車です。 アメリカのディーゼル機関車は多重連させることが前提のような設計をしていますので、単機で入れ換えをしている中出力の機関車が4重連、5重連で本線に出て驀進しても特に違和感を感じることはありません。
と言うわけで、このGP20はつぶしの利く極く真っ当な車輌ですが、残りのトーマスとCタンク機は、どちらかと言えば見た目の可愛らしさや微笑ましさを優先させたような設計になっています。LGB(レーマン)の有名なコッペルのBタンク機も充分に可愛らしく微笑ましい機関車ですが、あれとは別の意味で、もっと玩具的な方向を志向しているように思われるのがこの車輌たちです。LGBのBタンク機は充分にスケール機的な雰囲気を感じさせてくれますが、ライオネルのCタンクや機関車トーマスにそれを求めるには少々無理があります。
実はこの機関車、設計にはデルトン・ロコモティヴ・ワークスが関与しているようです。これらの製品群を出す以前にはライオネルはGゲージにほぼ無関係でしたから比較する対象がないので、どの程度までデルトンが関与したのかは定かではありません。全くの私の想像ですが、上述のGP20とこちらのCタンク機が全くの設計丸投げで、トーマスのみがそれを横目に自社設計なんじゃないかな?と思うわけです。それと言うのも、GP20は一応はスケール機ですから兎も角も、こちらのCタンク機はスケール機になりきれずに玩具的な段階で藻掻いているように思えるからです。トーマスの方は、あれはもう、機関車に顔が付いていてしゃべり出すと言う妖怪変化みたいな車輌ですから、スケール云々とは別次元の車輌です。
この車輌、写真をご覧になるとお判りになるかとおもいますが、連結器は後ろ側(炭庫側)にしか取り付けてありません。前側(煙突側)はカウキャッチャーと言う排障器が取り付けてあるので、連結器を取り付ける余地がありません。
このCタンク機、車体形状から判断すると、LGBのフォーニーだったかメイソンボギーだったかを模したような車輌です。この車輌はいわゆるクリスマス塗装になっていますが、元来は同じ車体形状で、かなり派手ではあるものの普通の鉄道模型的な意匠の塗装に塗られて販売されていた車輌です。
クリスマスと言うのはアメリカの模型業界、玩具業界にとっては最大の稼ぎ時です。メーカーによっても異なりますが、毎年のクリスマスごとに特別塗装の限定品を売り出すことは幾らもあります。言い換えると塗り替えてしまいさえすれば毎年幾らでも新製品が仕立てられるわけでして、在庫処分の絶好の機会でもあるわけです。
現在のライオネルはGゲージからは完全に足を洗ったと思っていたのですが、この製品は2003年(平成15年)のクリスマスセール用に用意した(=塗り替えた)と思われる車輌です。終戦処理的な在庫処分?の一環としては機関車1輌だけでクルスマス商戦に出しても余り意味が無いですから、機関車+ゴンドラカー+カブースの3輌編成に線路とパワーパックを組み合わせてセット売り(まとめ売り)したもののようです。1997年(平成9年)頃に、初めて私が手にしたGゲージの動力車が実はこの機関車と同じ形状の機関車でした。
俯瞰すると、とんがり屋根のキャブと金ぴかのドームがかなり目立ちます。この種のとんがり屋根は貨車としてはごく一般的ですが機関車では例外的です。概ね、この種の屋根形状の車輌は1800年代後半の車輌に限られるようです。ドームは兎も角、ボイラーバンドまで金ピカにしたのは判断の分かれるところで、ボイラ自体が黒塗りだったら、間違いなく霊柩車です。明るい感じの色なので、落ちる2、3歩寸前で踏み止まっていると言うべきでしょうか。
バルブギヤ周辺の写真です。典型的なステヘンソン式(スティーヴンスン式)で明快な構造です。模型とは余り関係ありませんが、ステヘンソン式のバルブギヤは主要な機構部分が台枠の内側に隠れているので、ワルシャート式(ホイジンガ式)などに比べると整備は厄介なんだそうです。それでも、私は自分自身としてはステヘンソン式の方が格好が宜しくて好みです。鉄ちゃんと言うのは自分勝手なものですな。
車輪の間に輪芯と同じ色の歯車が見えますが、これは連動に使っているスパーギヤです。プラスチック製の輪芯にタッピングのクランクピンを使ってロッドを固定しているので、こうでもしなければ強度は保てません。実は1997年(平成9年)頃に買った初代機は、この部分が最初にいかれてくれました。上述の通り、クランクピンは極く頭の厚みの薄い六角ボルトがそのままタッピングになったような形状をしています。それではスパナや六角レンチを使えば取り外しが出来るのかと言うと、、、それはまぁその通りなんですが、動輪の輪芯の材料が非常に脆いと言うか弱っちいと言うか、決して褒められた材料を使っているわけではありませんから「取り外して構造を確認しよう」なんて考えない方が無難です。多分、一旦外せば、それだけでほぼオシャカになります。
メーカーズプレートです。この辺りがスケール志向のメーカーとトイ志向のメーカーの別れ目と言えますね。普通にスケール志向のメーカーでしたら、間違いなく自社の名前をこの場所には入れないでしょう。
多少でもスケール気取りのメーカーは、プロトタイプがボールドウィン製だろうがピッツバーグだろうがアルコのメーカーズプレートを取り付けてしまうことはあるでしょうが、玩具志向のメーカーだったら自国製だろうが外国製だろうが、一律に模型メーカーとしての自社のメーカーズプレートを貼ってしまうことでしょう。善悪好悪は別としても、メーカーの意識の差が明確になる、興味深い点です。私は元来スケール指向ではありませんので、模型屋さんが煙室に自社名入りのメーカーズプレートを麗々しく貼り付けることには大賛成です。
この車輌はGゲージですので銘板の周囲には「 Lionel Large Scale 」と言う文字が刻まれていますが、Oゲージ製品などでしたら「 Lionel Electric Trains 」となる筈です。SゲージやHOゲージの製品がどうなるかは判りません。ま、独自の境地にある製品であることは確かです。
ライオネル製のGゲージのゴンドラカーで、これも上述のCタンク機や、後述のカブースと一緒に2003年(平成15年)に限定販売されたものです。このゴンドラカーに限りませんが品番の81024-1、81024-2,81024-3、と言うのは私が付けた便宜的なものですので、念のためお断りしておきます。セット全体としての品番は間違いなく81024なのですが、それに含まれる個々の車輌にまで正式に品番を付けてあるとも思えませんので、私が便宜的に番号を付けたまでのことです。
車輌自体はごく普通のゴンドラカーです。長さは、、、恐らくは20ft程度の車輌を想定していると思います。この種の車輌で最も破損しやすいのはブレーキホイールの周辺ですが、この車輌はちゃんと金属製の支柱を使ってブレーキホイールを立ち上げてあります。見掛けはチャっちいですが、相応に工夫して作られています。
床下は見事にあっさりしたもので、機器類は何も取り付けてありません。明らかに手抜きな。台車は妙に軸距離の短い変な格好のアーチバー台車です。余りにも軸距離が短いので、真横から見ると車輪同士がくっつきそうです。連結器は定石通りにナックルか同型のものを台車マウントにしています。
トラスロッドはLGB並み?に金属製で、非常に細くて感じの良いものです。車体を持つ際には、どんなに注意していてもトラスロッドは触りがちですから、バックマンの製品のようにプラスチック製のトラスロッドを使った車輌は、どうやっても曲げたり壊したりと言った事態を招きがちです。この部分に金属製の部品を使うことは、実に望ましいことです。そうは言っても、ターンバックルの表現がしてあるわけでもなんでもなくて、単なる針金に過ぎないですから、それ程手放しで褒めることができると言うわけでもないですが、、、。
ライオネル製のGゲージのカブースで、これまた2003年(平成15年)に限定販売されたものです。この3輌セットの中では唯一のイロモノと言いますか、車体内部にクリスマスキャロルの演奏するための仕掛けがしてあるそうです。
私は、この種のうるさくなりそうなだけの仕掛けは好みではありませんので、購入以来一度も演奏させていませんし、今後も演奏させるつもりも余り無いので、どんな曲が入っているのかは知りません。確か8曲だったか9曲だったか、その程度のはずです。9Vの電池を使うそうなので、ごく普通のメロディーICの類を載せて、順序無作為に再生させているのだと思います。
とまぁ、音源に凝った割にはそれ以外の箇所はあっさりしたものでして、大体、ティンプレートの車輌にありがちな曇りガラスの窓ですから車内を覗くことができるわけでもなんでもありません。手摺り類は、こちらはゴンドラカーのトラスロッドとは大違いで単なるプラスチックです。それでもこの手摺り、ゴンドラカーのステップも同様なんですが、非常に柔軟で壊れにくそうな材質です。太過ぎる気がしますが、まぁ、見逃してやることにしましょう。
足回りの写真です。LGBの2軸貨車に良く似た構造で、車輪と一緒に連結器も首を振る構造です。悪い構造ではないのですが、やはりLGBの車輌に比べると首を振る際の円滑さと言う点で少々見劣りがします。それでもオーバーハングの長いこの車輌では、連結器を台車マウントにした効果はかなりのものです。車体マウントのままの場合とは段違いに急曲線を通過し易くなります。
反面、台車マウントにした連結器と言うのは、連結器が車体とは全く無関係にあさっての方向を向いてしまう可能性はある、と言うことです。バックマンの製品のようにバックゲージの狭い車輪を履かせていると、直線区間では連結し難くなる可能性が無いとは言えません。
Small gondola car, from "Thomas the tank engine".
「機関車トーマス」に出てくる敵方?キャラクターです。車輌自体はクリスマス塗装のゴンドラカーと同一で、脱着式のカメオを取り付けることが出来るようにしたものです。要するに、お面が交換できるわけですね。カメオの写真は、、、多分、この手のものの画像を自分のサイトに載せてしまうことは著作権的に厳しいと思うので上梓しないことにしておきます。こんなことを言い出すと本末転倒ですが、この車輌を買い求めたこと自体、妻板上部が平らで車体の短いゴンドラカーが欲しかったからであって、トーマスのキャラクターが欲しかったわけではないからです。従って、敢えて危険を冒してまで上梓する理由もないからです。
「妻板上部が平らなゴンドラカーが欲しい」と言うと奇異に聞こえるかも知れませんが、やはり古いゴンドラカーの妻板上部は真っ平らな方が感じが良いように思います。何よりも、私の幼児体験に因ればゴンドラカーの妻板は全て真っ平らです、、、これは東急のト30**などの話ですが。それはそれとして、軽便鉄道のゴンドラカーの妻板は真っ平らな方が似合っていると思います。
ところで、「機関車トーマス」は子供が喜ぶ物語の最右翼みたいに思われていますが、必ずしもそうではありません。機関車に顔が付いていて、突然ペラペラしゃべり始めたら、考えようによっては妖怪変化と大差ありませんから怯えて泣き出す子供がいても不思議ではありませんし、実際にその手の話はよく耳にします。鉄道模型布教のつもりで知り合いのお子さんに機関車トーマスのセットなんてプレゼントしちゃったら、大泣きされて恥をかく可能性もありますから注意が必要です。その昔のジョイフルトレインで「フェスタ」とか言う、魚をモチーフにしてメッセージを発する機能があるとか言う容貌怪異な気動車がありましたが、アレなんかは何処をどう考えてもナマズの化け物が線路上を暴れ回っているようにしか見えませんから、自分勝手な美意識を幼児に押し付けちゃいけません。
この車輌、兎に角徹底的に簡略化されています。クリスマス塗装のゴンドラカーだって十分に簡略な車輌ですが、こちらは更に簡略です。先ず、手摺りは皆無です。ブレーキホイールもありませんし、トラスロッドもありません。挙げ句の果てには車体は灰色一色、代車は黒一色、レタリングすらありません。此処まで簡略だと呆気にとられてしまいますが、子供用という観点からすれば破損する箇所が少なくて済むとも言えます。何よりも、これならば惜しげもなく改造種車に利用できるので、実に好都合だと思います。イギリス的な世界を描いた物語に登場する車輌なので、ブレーキ類は省略しても大勢に影響はないと思ったのかも知れませんな。左側の車輌の妻板中央の部分がのっぺらぼうになっていますが、本来はこの部分にカメオを取り付けます。
台車はアーチバー台車で、連結器は台車マウントにしてあります。この辺りは原型?のクリスマス塗装ゴンドラカーと同じですが、連結器そのものはループ・フック型の、普通のアメリカが対外のGゲージ製品にありがちなものになっています。フックは片側にしか付いていないので連結方向は限られます。もっとも、機関車トーマスの物語では2輌のいじわるな貨車は常に前を向いた状態で連結されていますからこのような構造にしておくことが望ましいとも言えます。果たして、そこまで考慮した上でのことかどうかは定かではないですが。因みに、連結器にフックが付くのは、カメオが付かない方の妻板側に取り付けられている台車の方です。
このアーチバー台車、上下の帯板の膨らみが少なくてなんとなく扁平な感じを受けます。何というか、TR26やTR29の中央部が衝突した際に盛り上がってしまった?と言う程度でしかありません。もうちょっと膨らんでいた方がグラマーな感じがして、私としては好みに近いです。この点では、バックマン( Bachmann )製品の方が感覚的には優れているように思います。或いは、ライオネルのこの車輌は小型なので、意図してこのような外環にしているのではないかとも思います。車輪もプラスチック製なのでちゃっちいですが、転がりはそれ程悪くはありません。率直に言って大した品物でもないのですが、かなり巧い線を狙っていて、その狙いは当たっていると思います。
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